~歯肉縁下う蝕~

2023/05/12

歯肉縁下う蝕とは歯茎の下の深い部分まで進行したむし歯です。
この状態のまま土台を入れて冠を被せようとしても、むし歯の取り残しがあったり、支台歯形成(土台となる歯の形を整えること)や印象採得(型取り)が正確に行いにくいので、適合のよい補綴修復処置(詰め物や冠を入れること)を制作することが難しくなります。この歯肉縁下う蝕が重症化すると歯肉縁下から歯槽骨(歯を支えている顎の骨)レベル、さらにはその下までむし歯が進行して、歯を保存することが困難になってしまいます。
歯肉縁下う蝕があると、むし歯が完全に除去できたとしても、フェルール(歯肉縁上の歯質で冠が取り込んで維持力を発揮する部分)が不足したり、が生物学的幅径の侵襲(biologic width、生体防御のための歯と歯茎の付着様式が破壊されること)が起きたりします。
フェルールが足りず、補綴物のマージン(縁の部分)が歯茎の下の上皮付着、結合付着部に入り込むと、慢性的な炎症が惹起されて、長期的な予後や安定が見込めなくなります。また歯根の破折やポストコア(歯の中に建てる芯棒)の脱離も発生しやすくなります。また歯肉縁下う蝕では装着する時のセメントの残留も起きやすいとされています。

次回以降で、このような歯肉縁下う蝕に対する処置(歯冠長延長術、クラウンレングスニング)についてご説明します。

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